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2010年1月21日 (木)

未発達な心 2

 幼稚園に勤めだした頃、発達心理学や、親子関係の本を、片っ端から読みあさってた。

 その頃、母に一度聞いたことがある。
 「どうして、私をあんまり抱っこしなかったの?」

 答えは、「だって、泣かなかったから」

 もっと手の掛かる子供だったら抱っこしてたの?
いや、そんなに立派な子供じゃなかったよ。出来ないことだらけで、手の掛かる子だった。でも、そんな時は、怒られるばかり。
 甘え方が下手だったの?
いや、甘えても、「うるさい」って言われた。



 他にも、大人になって母に聞いたことがある。
 「私のこと、かわいいって思ったこと、ある?」

 答えは、「あるよ」だった。
 「例えば、どんな時?」って聞いた。
母は、答えられなかった。


 私は、何百人も子供を見てきたけど、どの子も(すごく悩まされた子もいたけど)、かわいかったし、今でも、一人一人、その子と関ったときのエピソード、かわいいって思った瞬間、一人につき少なくとも一つくらいは思い出せるよ。




 母に対する『怒り』が一番強かった頃、まだ、私は母に『期待』していた。

 母が祖母の介護を始めた頃かな。
介護は、心身ともに、重労働だ。
私は「自分のことをしっかり見ていて欲しい」という思っていたけれど、母の頭の中からは、私はすっぽり、削除されていた。
子供の頃以上に、「自分でできるでしょ」っていうオーラが出ていた。
 おりしも、私は職場の人間関係で悩んで心身症が出ていた。けど、それを母に話したら、「あなたまでも、私を追い詰めるのか」と母に非難されそうで、言い出せなかった。

 こういうことは、子供の時から、ずっと続いていた。
母は、祖父母、父、にものすごく気を遣って生活していた。
口ではそんなに言わないけれど、「これ以上問題ごとをつくるな」っていうオーラを私は感じていた。


 怒りがピークまできた時、もう母のそばにいること自体が辛くなった。
 怒りを持続する心のエネルギーがもうなかったんだと思う。



 もう あなたは わたしの ははおや でなくていい



 私は、家を出ることにした。

家族には、一切の相談もなし。一人で全ての手配を進め、引っ越す1か月ほど前に報告した。


 不思議なもので、引っ越しの話をして、一番寂しがったのは、母だった
「引っ越し、やめにすることはできないの?」って、引き止められた。

 けど、私の心には、もうその時、母に対する『期待』なんてないから、淡々と、「できないよ」って答えて、引っ越しの支度をした。


 一人暮らしは、はじめ、寂しかったけど、確実に気持ちは楽だった
 たまに会う方が、優しくしてくれるし、母から電話が来たりすると、そばにいるよりも「母の心の中に自分がいる」ということが、実感できた

 それから、しばらくして、祖母が亡くなり、母は『面倒をみる相手』がいなくなった。
母の心にもゆとりが生まれ始めた頃。
 私も、消化不良な心から解放されて、仕事がうまくいくようになった。



 期待しなければ、不満は生まれない。心穏やかに過ごせる。


そういう思考クセが染み付いていた。
 その時は、これが最善の策で、一番ラクな心のありようだと、思っていた。








・・・・・、まだまだ、続くので、今日はココまで。

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コメント

読ませていただいて、色々心に浮かぶ事がありました。
私はお父さんに愛して欲しかった。
対象が「お父さん」だったから、人を好きになった事で、その思いから開放されたんですけど…
相手が「お母さん」だとどうなんでしょうね?
…ずっと苦しいのかな?
うちの母も憂さんのお母さんと同じような事を言っていました。
学校でいい成績をとっても、「習った事がテストに出てるんだから当たり前でしょ?」って。
絵で賞を取ったって、他の事で成果をあげたって両親から何も褒めてもらえなかった。
いや、影では喜んでいたらしいけど、いつの間にか「成果」しか見てもらえなくなった。
そういう人は、「頑張り過ぎて息切れしてる。」んですよね。
だから私は、「そんなに頑張らなくていいんだよ。自分の為に人生を使っていいんだよ。」と、そういう思いをしている人に言ってあげたいです。

投稿: はなえ | 2010年1月21日 (木) 13時20分

 これも、いつか、触れようと思っているのですが、父との関係の方が、更に良くないのですよ。
 母親との関係は、自分自身が母になれば、分かり合えることが増えるんじゃないかと、思っています。

>そういう人は、「頑張り過ぎて息切れしてる。」んですよね。
 ・・・、そう、でも、本人は「頑張ってる」自覚がない。むしろ、まだ頑張りが足りないとさえ思っている。それに、「相手に喜んでもらうんだ」って、目的があるから努力が苦痛でない、どこまでも頑張ってしまう、・・・ってことがうつ病になってやっと分かりました。

 これも、幼稚園勤務時代、ずっと保護者に言い続けてきたことなんですけど、
  愛情は「掛けてるつもり」でも、子供がそれをどれだけ感じ取っているかの方が重要
だと思うんです。
 やっぱり、親子の間でも、言葉は大事、ってことですね。

投稿: はなえさんへ | 2010年1月22日 (金) 18時35分

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